サカサナマズ
Synodontis nigriventris
なんてわかりやすい名前なんだろうランキングがあったら,ランキング上位間違いなしの魚。サカサに泳ぐナマズだからサカサナマズ。潔いほどにすっきりしています。
けれど,このサカサに泳ぐ習性は,あまりすっきりとは解明されていないようです。
人間の好奇心の餌食になったサカサナマズは当然,研究対象になっていて,様々な実験が行われています。
色々な方向から光を当てられてもサカサの姿勢を維持。
ほぼ無重力の状態でもサカサ(容器の底に対して天方向に腹を向ける)の姿勢を維持。
どうやら耳石や内耳のつくりがほかの魚とは違うようだということまではわかっていますが,詳細は不明なようです。
大西健先生が日本におけるサカサナマズ研究のパイオニアのようですが,一般家庭から調べられる範囲では,2000年代初め以降,サカサナマズの研究が進んだ形跡がありません。
「宇宙に行った魚」みたいなネットの記事はあるけれど,その研究の論文まではたどり着けませんでした。海外の論文なのだろうか。気になる…。
めちゃくちゃ特異な性質を持っている魚ですが,アクアリウムの世界では割とポピュラーな種類で,大抵の熱帯魚屋さんで売っています。
論文とかでは「底」という概念に徹底的に抗う姿が描かれていますが,水槽で飼っていると「なんでやねん」というほどあっさりと底に腹を向けることもあります。
あと,ちゃんとナマズらしく臆病で,ずっと物陰に隠れています。サカサナマズを飼うときは「水槽の中をサカサに泳ぎまわる姿が見たい!」と思って飼うものですが,その願いはほぼ叶いません。ずっと物陰にへばりついているので。
サカサになった姿を観察したい場合は,水槽の正面から見える位置に,流木や石などで洞窟をつくるとよいでしょう。もしくは何も物を入れないか。ストレスで早死にするかもしれませんが。
あと,物にぴったりとお腹をつける習性があるので,ヒーターにはカバーをつけておくとよいです。
水槽に入れたが最後,照明がついているときは全然出てこないので存在を忘れられ,水槽をリセットするときに突然現れ,「まだ生きてたんか」なんてひどい言葉をかけられがちな魚ですが,サカサに泳ぐ以外にも,鳴いたり,テリトリに侵入してきた敵に胸ビレ付近の棘を逆立てて威嚇するみたいな,小動物的なかわいさもある魚なんですよ。見えないけど。
個人的には,人生で初めて飼った熱帯魚なので,とても思い入れがあるお魚です。
種類 | サカサナマズ |
生息地 | コンゴ |
体長 | 7cm-8cmくらい |
飼育難易度 | ★★☆☆☆☆ 基本的には丈夫 |
繁殖難易度 | ★★★★☆☆ 繁殖させるならしっかりと狙わなければならないみたい |
餌 | 人工飼料 ライト消灯時に沈下性の餌を与えるのがベター |
飼育目安 | 45cm水槽に3匹,60cm水槽に5匹くらい |
かかりやすい病気 | 白点病 |
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