熱帯魚(小型魚)の飼い方

熱帯魚を飼ってみたいけれど,何が必要で,どうやって飼えばよいのかわからない!
お店やホームセンターに行ってみると何やらいろんな器具が置いてあるし,店員さんにお話しを聞こうにもなんだか忙しそうだし…。
という人のために作ってみたページです。
(聞けるならば,熱帯魚専門店の店員さんに相談するのが一番ですよ,プロなので。)
ネオンテトラやグッピー,ラスボラのような小型魚の熱帯魚を飼うことを想定して,
・最低限必要なもの
・あると良いもの

・より水槽の世界を広げてくれるもの
この3つについて解説したいと思います。

また,熱帯魚ではなくメダカや金魚を飼う場合でも,基本的に必要になる器具は同じです(ヒーターが「最低限必要なもの」→「あると良いもの」になるくらいの違い)。

※ただし,ここに書いてあることは私個人の考えです。絶対正しいとか,他の飼い方が間違いとか,そういうことではないので悪しからず。

最低限必要なもの
これがなければ魚を飼育することなんてほぼ不可能…!というものたちです。

●水槽

出典元:GEX(グラステリア)

(2,000~6,000円程度) 
小型魚ならば,金魚鉢のようなボトルで飼育することもできますが,はじめて飼育する場合は「水槽」の方がおすすめです。なぜなら水量が多いから。
水量が多い方が,水が汚れる速度が緩やかで,水質・水温の変化も少なく,魚が体調を崩しにくくなります。一方,小さな水槽は水が汚れる速度が速く,頻繁に水替えをする必要があり,こまめな管理が求められるようになります。
ただ,大きすぎるとそれはそれで置き場所に困ります。ネオンテトラやメダカのような小型魚なら,まずは横幅30センチ~45センチくらいの大きさの水槽(水量13~30L)から始めるのが良いと思います。
◆水槽についてのまとめ記事はこちら◆

水槽台

出典元:コトブキ工芸(プロスタイル)

(6,000~20,000円程度)
小型水槽とはいえ,重量はそれなりになります。1Lの水で1kg。水槽や機材,底砂やレイアウト素材を含めるとさらに重くなります。大雑把に,30センチ水槽ならば15~20kg,45センチ水槽ならば50kg程度になります。耐荷重のある台があるのであれば,必ずしも水槽台を購入する必要はありませんが,その場合はその台の材質にも気を付けてください。カラーボックスなどは,地震のような揺れに弱いだけでなく,水に弱い合成木材で作られていて,水にぬれると膨れます。膨れると,水槽を置いている部分が水平でなくなり,ガラスが割れて大惨事になります。
不安であれば,「水槽台」を購入するのが安心です(あまりに安物の水槽台は水に弱いことがあったり不安定だったりでちょっと…ですが)。

ヒーター

出典元:NISSO(プロテクトプラス)

(3,000~5,000円程度)
メダカ・金魚・アカヒレのような魚でない限りは(「熱帯魚」と呼ばれる魚である限りは)ヒーターが必要です。
水槽の容量に合わせて,ワット数を選びます。水槽の容量に対して,ヒーターの電力が小さいと,水槽のなかで温まっている部分と温まっていない部分の温度差が出てしまうなどして,魚が体調を崩すきっかけになってしまいます。
ヒーターには,温度を調整するサーモスタットという機械が別売りのものと,サーモスタットとヒーターが一体になったタイプがあります。価格は,一体型で,かつ,温度調整できないものが安価です。
価格面から,ついつい温度調整機能のない一体型ヒーターを購入してしまいがちですが,温度調整ができるものを1本持っておくと安心です。なぜなら,熱帯魚が病気になったときに,通常よりも温度を上げる必要があるからです。特に初心者のうちは,「白点病」という病気に悩まされがちで,その治療のためには水温を通常よりも上げる必要があります。
温度調節機能があれば,サーモスタットとヒーターが別のタイプでも,一体型でもどちらでもよいです。別になっているタイプは,仮にヒーターが壊れてもヒータ部分だけ変えられるというメリットがありますが,正直,そんなにヒーターが壊れることはないように思います。
メダカや金魚,アカヒレのような魚にはヒーターは不要ですが,玄関先のような,寒くなる場所に水槽を置く場合はヒーターを入れてもいいかもしれません。今までヒーターを設置していなかった,すでに魚のいる水槽にヒーターを設置する場合は,温度変化が急激になりすぎることのないよう,1日に1℃ずつを限度に水温を上げるようにしてください。

●フィルター

出典元:寿工芸(プロフィットフィルター)

(1,000~9,000円程度 種類によって大幅に価格差あり)
魚を飼育すると水が汚れます。フィルターを設置しなければ,水流も発生せず,よどんだ水になって汚れがどんどんと蓄積され,病気のもとになります。
フィルターを設置せずとも,毎日の水替えや水草の繁茂によって汚れの蓄積を防ぐことはできますが,毎日の水替えなんてあまり現実的ではないし,水槽中に水草を茂らせようと思うと,お金がかかります。それなら,フィルターを設置してしまった方が手っ取り早く,結果的に安上がりです。
フィルターにも本当に色々な種類のものがありますが,安価で管理が楽・景観を損ねないという点から,小型水槽には外掛け式のフィルターが使いやすいと思います。
自分の作りたい水槽のスタイルが確立してきたら,スタイルに合わせて外部式フィルターやスポンジフィルターを選ぶのが良いと思います。

●照明

出典元:GEX(リーフグロー)

(3,000~10,000円程度 仕様によって大幅に価格差あり)
これがないと魚が死ぬというわけではないけれど,ライトはあった方が良いです。
ほぼ必須で必要だと思います。ライトがあるのとないのとでは,魚の見え方が全く違います。
防水性のことを考えるならば,デスク用のライトより,しっかり水槽用のライトを購入することをお勧めします。
ライトをつけると電気代が…!となりそうですが,熱帯魚飼育ってそこまで電気代はかからなくて,ヒーターやフィルターと合わせても,電気代は冬場で水槽1本あたり800円/月 程度。夏場で100円/月 程度。(そもそも部屋でエアコンを利かせていれば,そんなにかからないかも)
趣味と割り切ってしまっていいくらいの金額です。
LED電球が普及するまでは,照明の主流が蛍光灯だったので,もう少し割高だったのですが。
時代の進歩です。

●餌

出典元:GEX(ワイルドフレークプロバイオ)

(500~1,000円程度)
言わずもがな,魚も食事をとるので餌は必要です。ショップに行くといろんな餌があってわけがわからなくなると思いますが,フレークタイプの餌が万能です。
口の小さな魚には細かく砕いてあげることができるし,少し水を含ませてから与えればすぐに沈むので,コリドラスのような底で生活する魚にも対応することができます。
たまに,アベニーパファーのようなフグや,スカーレットジェム,バジスバジスなど,人工飼料は「食べない(餌付きにくい)」魚もいるので注意してください。そういった魚は冷凍赤虫やイトメを与える必要があります。魚を購入する前に,店員さんに「この魚,人工飼料でも大丈夫ですか(人工飼料を食べていますか)」と聞くのが安全です。

●水換えホース

出典元:水作(プロホース)

(1,000円程度)
生体を健康に保つためには,週に1回程度,水槽の1/4~1/3程度の水を換える必要があります(水量や環境によりますが)。水が汚れているのなら,水槽の中の水を丸ごと変えた方がよいのでは…?と思うかもしれませんが,そういうものでもありません。一度に大量の水を換えてしまうと,水槽内の環境が急激に変化してしまうので,生体に大きなダメージを与えてしまいます。なので,定期的に,生体にあまり大きなダメージを与えない程度の水を換える必要があるのです。
水換えをするときに使うホースは,普通の園芸ホースでもいいのですが,園芸ホースで水槽の水を換えようと思うと,最初ホースに口をつけて水を吸い出さなくてはなりません。灯油用のホースなどでも代用できますが,水槽用の水替えホースの方が,吸い出す速度がちょうどよかったり,底砂を掃除する機能がついていたりして,何かと扱いやすいです。

●バケツ
(100~500円程度)
水換えの時に古い水を捨てたり新しい水を入れたりするために必要です。魚が病気になってしまったときに隔離する容器としても使えます。ホームセンターや100均で売られているものでOKです。10L前後のバケツが使いやすいように思います。

●中和剤

出典元:エーハイム(4in1)

(500~1,500円程度)
水道水には,消毒のために塩素(カルキ)という物質が含まれていて,水槽の中の観賞魚やバクテリアにとって有害です。塩素を取り除くためには,水を1日以上汲み置きしておく必要があるのですが,週に1度の水換えで,とてもそんなことはやっていられないので,塩素中和剤を使用します。塩素中和効果の他に,粘膜の保護等の効果を持つ中和剤などが売られています。正直なところ,どれが抜群に良いみたいなのはない(わからない)のですが,私は10年近く,写真の「エーハイム 4in1」を使用しています。
お好みで,よさげな効果が謳われているものを選ぶのもよし,ボトルのおしゃれさで選ぶのもよし,価格で選ぶのもよし,です。
ちなみに,4in1のボトルデザインはちょっと武骨なので,私はADAの液体肥料のボトルに4in1を詰め替えて使っています(エーハイムの人にもADAの人にも怒られそう…。)

あると良いもの
なくても何とかなるけれど,あった方がよいかなと思うものたちです。

●底砂

出典元:JUN(プラチナソイル)

(1,000~5,000円程度)
水槽の管理方法には大きく分けて2つの種類があって,1つは底砂を入れず,フィルターの浄化作用と水換えのみによって管理するベアタンク方式。もう1つが,底砂を入れて,底砂に生息するバクテリアとフィルターの浄化作用,水換えによって管理する方式。
ベアタンク方式は汚れが視認しやすくて管理が楽,(定期的にしっかり水換えをするなら)水槽内を清潔に保ちやすいというメリットがある一方で,レイアウトが制限されたり,水質を一定に保ちにくいというデメリットがあります。
底砂を入れる方式は,様々な場所に水草を植えることできてレイアウトの幅が広がったり,水質をある程度一定に保つ効果を期待できたりするというメリットがある一方で,底砂に汚れが溜まり,それが魚病の原因になってしまうというデメリットも存在します。
どちらの方法で水槽を管理するかは好みですが,繁殖や,排泄物が多いわりに水質に敏感な魚(ディスカスや肉食性の大型魚など)を飼育するのでなければ,底砂を敷いて管理する方法を私はおすすめします。
底砂にもいろいろな種類があって,中には水質に影響を与えるものもあるので,育てたい魚や水草にあわせて底砂を選ぶのがよいでしょう。

●水温計

出典元:ADA(NAサーモメータ―J)

(300~1,500円程度)
熱帯魚を飼育する場合,水温はヒーターによって一定に保たれているので,水温計は必ずしも必須ではありません。とはいえ,水温計があれば,「本当にヒーターで設定した水温になっているかどうか」を確かめることができますし,あった方が安心でしょう。
また,夏場,1日中エアコンをつけていられない場合には,水温計で水温をチェックした方がよいです。気付いたら水温が30℃を超えていて,魚たちが死んでいる…というのはよく耳にする話です。熱帯魚飼育で怖いのは冬より夏だと,私は感じています。

●エアーポンプ,エアーチューブ,エアーストーン

出典元:水作(水心)

(一式2,000~3,000円程度)
いわゆるブクブクです。水槽内に空気を送り込んで,酸素を水中に供給します。基本的に水道水には酸素が溶け込んでいるので,エアーポンプを使う必要はないのですが,夏場,水温が高い(28℃程度)場合や,1つの水槽内に多くの生体を飼育したりする場合には必要になります。また,水面に揺らぎを与えるので,油膜を防ぐこともできます。
エアーポンプはそれ単体では使用することができず,エアーチューブとエアーストーンが必要になります。

●電源タップ

(1,500~3,000円程度)
熱帯魚飼育にあたって必要な器具を見てきてわかるように,水槽を管理する上では,それなりの電気器具が必要になります。6個口程度の電源タップがあれば,それらの配線をすっきりと管理することができます。できれば,水の侵入を防ぐタイプの電源タップ(気休めにしかなりませんが)を使用すると良いと思います。

●スマートプラグ
(1,500~3,000円程度)
10年くらい前までは,照明の点灯時間等を管理するために,水槽用のタイマーを使用していました。しかし,スマートプラグの登場によって,昨今では水槽用タイマーの必要性を感じなくなっています。スマートプラグは,Amazonで1500~3000円程度で購入することができます。曜日単位で,細かく時間を設定することができ,スマホを使って家の外からでもタイマーを設定することができます。wifiが使用できなければ,スマートプラグを使うことはできませんので,その点だけ注意が必要です。

●流木,石
(1つ2,000円程度 大きさやものによってピンキリ)
流木や石を水槽に入れると,それだけで一気に自然感が増します。石は川原や湖畔で拾ってきたものを使ってもよいです。流木は,川原に落ちているものはそのままでは沈まなかったり,思わぬ生物(寄生虫や水棲昆虫など)を持ち込んでしまうことがあるので,落ちているものを使うことはあまりお勧めできません。
石も流木も,水質に影響を与えることがあるので,使うときには注意するようにしましょう。といっても,そこまで極端に生体に悪影響を及ぼすことはないと思っていて大丈夫だと思います。

ピンセット

出典元:GEX(水草ピンセットストレート)

(100~3,000円程度 種類によってピンキリ)
水草を植えるなら,ピンセットがあると植えやすいです。
100均で売られているようなものでもよいですが,水草植栽用のピンセットの方が,長くて,先が加工されているので植えやすいです。

●いらないクレジットカードや三角定規
(タダ)
水槽壁面についたコケをとるのに使います。
壁面にカードや定規の辺を当てて,スッとこすれば,たいていのコケは取れます。
「スクレーパー(水槽用)」という,水槽壁面のコケをとるための器具も存在しますが,
カードと定規でコケは取れます。これでじゅうぶんです。
(スクレーパーがあるとより楽にコケ取りができるけれど。)

より水槽の世界を広げてくれるもの
これがあると,水槽の中につくる世界が,幅広くなりますよ。というものです。
なくても問題ありません。これに手を出し始めたら,もうそれはアクアリウムの世界にどっぷりはまってしまったといっても過言ではないでしょう。

●二酸化炭素添加装置(ボンベ・レギュレーター・電磁弁・スピードコントローラー・バブルカウンター・耐圧チューブ・逆流防止弁・ディフューザー)

出典元:(クリスタルアクア SSB-RG23)

(一式 12,000円程度~)
もし水草を茂らせた水草水槽をつくりたいなら,二酸化炭素の添加が必要になってきます。
二酸化炭素を添加せずに,二酸化炭素をそれほど必要としない水草だけを使って水草水槽を作り上げることもじゅうぶんに可能(そしてそれはそれでとても面白い)ですが,二酸化炭素を添加した方が,水草を育てやすいのは間違いないです。
二酸化炭素の添加方法には,主に,「耐圧ボンベ式(通常?はこれ)」「化学式(炭酸水素ナトリウム(重曹)とクエン酸の化学変化によって二酸化炭素を発生させるもの)」「生物式(イースト菌の発酵によって二酸化炭素を発生させるもの)」の3つがあります。
「耐圧ボンベ式」は,一番扱いやすく,手間いらずですが,ボンベ内の二酸化炭素がなくなったら新しいものを買わなければならず,ややコスパが悪いのが難点。
「化学式」は,100均や薬局で買える重曹とクエン酸で二酸化炭素をつくることができるので,最もコスパがよいですが,やや手間がかかる(といってもそれほどではない)のと,本体が大きいのが難点。
「生物式」は,自作できるので最も安上がりですが,二酸化炭素量や添加時間の調整ができず,扱いにくいのが難点。
私のお勧めは,「化学式」です。

●肥料

出典元:ADA(ブライティ-K)

(1,000円程度)
水草の育成には,「窒素」「リン酸塩」「カリウム」「鉄分他ミネラル類」が必要になります。これらは水換えの度に失われていくため,追肥を行う必要があります。
肥料には液体肥料と固形肥料があって,一般的に,葉からも多くの栄養を吸収する有茎草には液体肥料が,根からの栄養吸収が多いロゼット型の水草には固形肥料が有効です。
肥料成分のうち,「リン酸塩」や「窒素」は,コケの発生につながることもあるので,添加は慎重に行う必要があります。

●水草トリミング用ハサミ

出典元:ADA(プロシザース・ウェーブ)

(3,000円程度~)
水草をトリミングするとき,一般家庭にあるハサミでカットしてもよいのですが,水草専用のハサミを使うと,段違いにトリミングのストレスが減ります。

この他にも,浄水器や殺菌灯など,いろいろな製品があるのですが,私は使ったことがないのでここでは取り上げません。
観賞魚用の浄水器は,カルキを抜くだけではなく,水の硬度を下げるなどいろいろな効果があるらしく,水槽専用の洗面所と部屋があったら試してみたい(たぶん無理)。

「はじめて魚飼育をはじめる!」という方は,「最低限必要なもの」をそろえて,「あると良いもの」から自分に必要そうなものを選んでそろえるとよいと思います。
どうしても,ある程度の初期費用は発生してしまいますが,生き物を飼う以上は仕方のない出費だと割り切ってお考え下さい。それでも,犬や猫より手軽に始められる趣味のはず…!

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